除圧術
除圧術の成績 — 手術 vs 保存療法
複数の大規模研究で、除圧術と保存療法の長期的な成績が比較されています。
| 期間 | 手術 vs 保存療法 | 解釈 |
|---|---|---|
| 術後〜2年 | 手術群が優れる | 痛み・身体機能・QOLのすべてで改善が大きい |
| 術後2〜4年 | 手術群の優位性は維持 | ただし差は徐々に縮小する傾向 |
| 術後4〜8年 | 差はさらに縮小 | 一部の評価項目では有意差が消失 |
| 術後8〜10年 | 下肢痛・機能では手術群が優位 | ただし腰痛や満足度では差が消失 |
主要な研究からわかること
SPORT study(RCT 289例 + 観察コホート 365例): 米国で行われた最大規模の研究です。実際に行われた治療に基づく解析では、術後6週から2年にわたって手術群が すべての評価項目 で優れていました。術後4年でも手術群の優位性は保たれましたが、4〜8年にかけて成績は徐々に悪化する傾向がみられました。
ただし、この研究では保存治療に割り付けられた患者の 43〜57%が手術にクロスオーバー しており、保存治療群の成績が手術を含んだ結果になっている点に注意が必要です。
Maine Lumbar Spine Study(8〜10年の成績): 術後8〜10年の時点では、下肢痛や背部機能 では手術群の優位性が維持されていましたが、腰痛や治療満足度 では両群に差がみられなくなりました。10年での再手術率は23%でした。
患者さんへの重要なメッセージ
手術の効果は 「時間が経つにつれて保存療法との差が縮まる」 傾向がありますが、これは 「手術の効果がなくなる」 という意味ではありません。 むしろ、保存療法群でも多くの方が最終的に手術を受けている(39〜57%)ことから、重症の方にとっては早めの手術が有利 であることを示唆しています。
不安定性の有無が重要
不安定性を伴う場合は除圧術だけでは不十分な可能性があります。
ガイドラインでは、明らかなすべりや不安定性を伴わないLSS に対する除圧術の有用性は認められていますが、変形や不安定性を有する場合は除圧術の成績が不良 であるとの報告もあります。
不安定性がある場合は、固定術の追加が検討されます。