固定術の長期リスク

なぜ起きるのか(原因)

1. 力学的な負担の増加

固定した部分が動かなくなると、その分、隣の骨が 余計に曲げ伸ばしされる ようになります。この「動きすぎ」が長年続くと、クッション(椎間板)が早くすり減ったり、骨がずれやすくなったりします。

2. 手術時の影響

固定術を行うとき、隣の骨の「骨のふた(椎弓)」や靱帯を削ることがあります。そうすると、その部分が不安定になりやすく、ASDのリスクが高まります。

研究では:

  • 固定術だけ:ASD発生率 35.2%
  • 固定術+隣接する骨の椎弓切除:ASD発生率 57.5%

と報告されています。(Simonetta B et al., Spine 2025)

3. スクリューの入れ方

固定に使うネジ(スクリュー)が上の椎間関節に干渉する場合、隣の関節への負担が増え、ASDが起きやすくなることが報告されています。

4. 固定する骨の並び方(アライメント)

固定するときに、骨と骨をどのような角度で固定するかが、隣の椎間関節にかかる負担に大きな影響を及ぼします。立っている姿勢では腰椎は反った姿勢(前弯)になるため、その並びを維持して固定することが理想 とされています。前弯を意識せずに固定した場合は、ASDが起きやすくなります。

5. 固定する椎間数の影響

固定が必要な場合、必要最小限の固定に留める ことが重要です。日常生活で5つの腰椎は大きく動きます。固定することによって、その動きに関与できる椎間が減ることになります。1椎間、2椎間、3椎間と固定椎間数が増えるに従い、残りの椎間にかかる負担が大きくなります。