固定術
どんなときに固定術が必要か
除圧術(神経の通り道を広げる手術)だけでよい場合も多いですが、次のようなときは固定術を一緒に行うことがあります。
- 腰の骨が前後にずれている(すべっている)
- レントゲンで、前かがみ・後ろそらしで骨が大きく動いてしまう
- 神経の通り道を広くするために骨をたくさん削る必要があり、削るとそこがグラグラになりそうなとき
- 腰の骨が強く曲がっていて、そのままではバランスが悪いとき
つまり、「通り道を広げるだけだと、骨が不安定になる(またはすでに不安定)」 というときに、「一緒にしっかり固定しましょう」という話になります。
ガイドラインの判断基準
| 判断基準 | 具体的な数値 |
|---|---|
| すべり | 5mm以上 |
| 回旋不安定性 | 10°以上 |
| 椎間関節角 | 50°超 |
| 椎間高 | 6.5mm以上 |
| 腰痛が主症状 | 下肢痛よりも腰痛が強い |
| 広範囲の除圧 | 両側展開両側除圧を行う場合 |
逆に言えば、 これらに該当しない(不安定性が少ない)症例では、除圧術単独で十分な成績が得られ、固定術に伴うリスクとコストの増加を回避できます。
ガイドラインの推奨(診療ガイドライン2021より)
| 推奨内容 | 推奨度 | エビデンス |
|---|---|---|
| 脊椎不安定性のある症例 では除圧固定術は有用でありQOL/ADLの改善が見込まれる。ただし、コストは除圧術単独より高く、復職率はやや劣る。併発症や再手術率も増加するため、病態・術式を熟考して適応を検討 する | 2(提案) | B |
ポイント: 単純な腰部脊柱管狭窄症では除圧単独と除圧+固定で成績差は限定的であり、合併症は固定術で増えるとされています。ガイドラインでも「ルーチンな固定術追加は推奨されない」方向です。固定が本当に必要かどうか を術前にしっかり見極めることが最も重要です。