脊髄刺激療法(SCS)
3分でわかるまとめ
長い説明を読む前に、まず大事なところだけをやさしくまとめます。ここだけ読んでも、だいたいの流れがわかるようにしています。
脊髄刺激療法(SCS) は、背骨の中を通る脊髄に、ごく弱い電気の刺激を送ることで、つらい痛みを 和らげる 治療です。心臓のペースメーカーに似た小さな機械を体の中に埋め込み、そこから細い電線を通して刺激を送ります。かゆいところを掻くとかゆみがまぎれるのと似た理屈で、電気の刺激が、痛みの信号が脳に伝わるのをやわらげると考えられています。
SCSは、次のような場面で考えられます。
- お薬や注射などをしっかり試しても痛みが残り、手術で取り除ける原因がはっきりしないとき
- 手術はできるけれど、背骨を広く固定する必要があるなど、体への負担やリスクが大きいとき
- 手術を受けたあとも、しびれや痛みが続いているとき
SCSは「手術をあきらめた人の最後の手段」ではなく、状況によっては早めに考えてよい"第三の選択肢"です。
この治療の大きな特徴は、いきなり埋め込むのではなく、約1週間の「お試し(トライアル)」で効き目をたしかめてから 本格的な埋め込みを決められることです。合わなければ取り出すことができ、体を元の状態に戻せます。どんな処置にもリスクがゼロではありませんが、あとから選び直せる可逆的な治療である点が、安心につながります。
大切なのは、SCSは痛みを完全にゼロにする治療ではない、ということです。目安としては痛みが半分ほどまで軽くなれば効果ありと考え、「痛みがあっても、やりたいことができる」状態を目指します。また、痛みにくらべてしびれの改善は控えめなことが多い点も、前もって知っておくと安心です。お薬の量を減らせたり、生活が楽になったりする方もいます。埋め込んだあとも、入浴や運動、お仕事など、多くの日常生活はこれまで通り続けられ、刺激の強さは手元のリモコンでご自身で調整できます。
受けるのに適した時期は、痛みが続いて6ヶ月〜2年ほどのころが目安とされます。早すぎても遅すぎても効果が出にくいことがあるため、気になる方は早めにご相談ください。治療は健康保険が使え、高額療養費制度で自己負担額に上限を設けることもできます。SCSは専門的な治療のため、まずはかかりつけの先生に相談し、SCSを行っている施設を紹介してもらうところから始めるとよいでしょう。ご家族が一緒に診察に付き添い、聞きたいことを一緒に整理しておくのも、心強い支えになります。
ここまでが全体像です。もっと詳しく知りたい方は、このあとの説明をゆっくりお読みください。