心と痛みの関係
痛みは「脳」がつくっている
少し意外に聞こえるかもしれませんが、すべての痛みは脳でつくられています。
これは「痛みが嘘だ」という意味ではありません。体のどこかに異常があるとき、その信号が脳に届き、脳が「痛い」という体験をつくります。つまり、痛みの「製造工場」は脳なのです。
脳が「音量を上げる」ことがある
テレビのリモコンを想像してください。痛みの信号は、テレビの「音量」のようなものです。
- 急性の痛み(ぎっくり腰など):音量は「実際の損傷」に合わせて調整される
- 慢性の痛み(3ヶ月以上):脳が「音量つまみ」を勝手に上げてしまうことがある
この「音量が上がった状態」を**中枢性感作(ちゅうすうせいかんさ)**と呼びます。国際疼痛学会(IASP)は、これを正式に「ノシプラスティック痛」という新しいカテゴリーとして認めました。
中枢性感作が起きると:
- 本来は痛くない刺激(軽く触れるだけ)でも痛みを感じる
- 少しの痛みが、大きな痛みとして伝わる
- 組織が治った後も、痛みだけが続く
これは「気のせい」ではありません。脳と脊髄の神経系に起きている実際の変化です。
そして重要なのは、睡眠不足、ストレス、不安、抑うつが、この感作を悪化させることが研究で示されていることです。