手術について(知っておきたいこと)
固定術が有効な場合と、そうでない場合
脊椎固定術(せきついこていじゅつ)は、背骨の2つ以上の骨を金属のネジと棒で固定し、動かなくする手術です。不安定な背骨を安定させることが目的です。
固定術が明確に有効な場合
以下の場合は、固定術の有効性を示す確実なエビデンスがあります:
| 状態 | 説明 | 固定術の成功率 |
|---|---|---|
| すべり症(グレードII以上) | 背骨が前方にずれて不安定な状態 | 比較的高い |
| 不安定な骨折 | 背骨の骨折で安定性が失われた場合 | 確立された適応 |
| 脊椎の腫瘍 | 腫瘍により背骨の支持力が失われた場合 | 確立された適応 |
| 脊椎の感染症 | 骨髄炎・椎間板炎で骨の安定性が失われた場合 | 確立された適応 |
| 重度の脊柱変形 | 側弯症・後弯症で矯正が必要な場合 | 確立された適応 |
共通点: これらの場合には、はっきりとした構造的な問題があり、それを安定させる必要があります。
エビデンスが手術を支持しない場合:非特異的慢性腰痛
「非特異的慢性腰痛」とは、痛みの原因を一つの構造に特定できない慢性腰痛のことです。慢性腰痛の大半がこのタイプです。
3つの大規模臨床試験
非特異的慢性腰痛に対する脊椎固定術は、3つの大規模な臨床試験で検証されました。
複数の大規模臨床試験で、非特異的慢性腰痛に対する脊椎固定術と保存的治療の比較が行われています:
- スウェーデン、ノルウェー、英国で行われた主要な試験のうち、固定術が保存療法より優位だった試験は、比較群のリハビリが十分な内容ではなかったことが指摘されています
- 構造化された集中リハビリプログラムと比較した場合、固定術との間に臨床的に意味のある差は認められなかった
長期追跡調査 — 重要な研究
これらの試験を10年以上にわたって追跡した長期研究では、さらに重要な結果が示されました:
- 日常生活の障害度、痛みなど、すべての測定項目で固定術群とリハビリ群の間に臨床的に意味のある差は認められなかった
- この結果から、包括的リハビリプログラムが利用可能な環境では、固定術を優先する根拠は乏しいと結論づけられています