「家でできる体操はある?」— 狭窄症のための運動

動くのが怖い——その気持ち、よくわかります。でも、正しく体を動かすことは、狭窄症の立派な「治療」です。

※本コラムは一般的な情報提供を目的としています。痛みが強いときや、新しく運動を始めるときは、必ず主治医にご相談ください。


外来でよくいただく質問のひとつが、これです。

「先生、家で何かやっておいたほうがいいことはありますか?」

そう聞かれると、私はいつも「はい、ぜひ」とお答えします。脊柱管狭窄症の保存療法では、運動はお薬と並ぶ大切な柱だからです。

とはいえ、「動いたら悪くなるのでは」と不安に思う方も少なくありません。今回は、ご自宅で無理なくできる体操の考え方を、やさしくお伝えします。

自宅でひざを抱える体操をする年配の方 痛みが出たらやめる——無理なく、毎日少しずつ。


狭窄症の運動は「前かがみ」がカギ

第1回でお話ししたように、脊柱管狭窄症は前かがみになると神経の通り道が広がり、症状が楽になるという特徴があります。

運動もこの性質を利用します。つまり、背中を反らす動きより、軽く丸める動きのほうが相性が良いのです。

逆に、腰を後ろに大きく反らす体操は、かえってつらくなることがあります。「良い運動」と聞いて頑張りすぎないことも大切です。


おすすめの3つの動き

体操 やり方 ねらい
ひざ抱え 仰向けで両ひざを抱え、腰を軽く丸める。20〜30秒 神経の通り道を広げ、こわばりをほぐす
おなかの引き締め 仰向けでお腹を軽くへこませ、数秒キープ 腰を支える「天然のコルセット」を育てる
前かがみの有酸素運動 エアロバイク、押し車での散歩、水中歩行 前かがみ姿勢のまま、無理なく歩く力をつける

特に自転車こぎは、前かがみで足を動かせるので、狭窄症の方ととても相性が良い運動です。「歩くとつらいけれど、自転車なら平気」という方が多いのは、このためです。


続けるための3つのルール

  • 痛みが出たら、そこでやめる。 「痛いのを我慢して頑張る」は禁物です
  • 反動をつけない、息を止めない。 ゆっくり、呼吸をしながら
  • 少しずつ、毎日。 一度にたくさんより、短くても続けることが力になります

ウォーキングをするなら、「少し前かがみで、休み休み」が基本です。途中で足がつらくなったら、ベンチに座ったり、前かがみで休んだりしてから、また歩き出して構いません。


まとめ

  • 狭窄症の運動は、背中を反らすより、軽く丸める動きが基本
  • ひざ抱え・おなかの引き締め・自転車こぎから始めてみましょう
  • 痛みが出たらやめる。無理は禁物です
  • 運動は「やらされるもの」ではなく、自分の足を守る習慣です

一度にすべてを完璧にやろうとしなくて大丈夫。まずは一つ、今日からはじめてみませんか。