検査と診断
画像検査 — MRIは本当に必要か?
「MRIを撮ってください」と言いたくなる気持ち
痛みが続くと、「MRIで原因を突き止めてほしい」と思うのは自然なことです。
しかし、MRIは万能ではありません。むしろ、不適切なタイミングでのMRIは、害になることがあります。
なぜMRIが害になりうるのか
研究によると(Srinivas 2012年、Jenkins 2018年):
- 不必要な不安を生む — MRIで見つかる「異常」の多くは正常な老化現象です(なぜ腰が痛いのかで詳しく解説)
- 不必要な追加検査につながる — 「異常」が見つかると、さらに検査を受けることになる
- 不必要な手術につながることがある — MRIの「異常」に基づいて手術が行われ、結果が良くないことがある
- 「病人」というレッテル — 画像の異常を見せられると、「自分は壊れている」と感じてしまう
もう一度思い出してください
| 年齢 | 痛みがない人でもMRIで見つかる変化 |
|---|---|
| 60代 | 88%に椎間板変性、69%に椎間板膨隆 |
| 70代 | 93%に椎間板変性、77%に椎間板膨隆 |
| 80代 | 96%に椎間板変性、84%に椎間板膨隆 |
これらは痛みのない健康な方の数字です。(Brinjikji 2015年)
つまり、MRIで「椎間板が潰れています」「ヘルニアがあります」と言われても、それが痛みの原因とは限らないのです。
MRIが必要なとき
では、いつMRIが本当に必要なのでしょうか?
| MRIが必要 | MRIは不要 |
|---|---|
| 足の力が入らない(進行性) | 6週間以内の腰痛で危険信号がない |
| 馬尾症候群が疑われる | 慢性の腰痛で神経症状がない |
| がんや感染症の疑い | 「念のため」「安心のため」 |
| 手術やブロック注射の計画がある | 他の病院のMRIがすでにある |
過剰検査と過少検査、どちらも問題
興味深い研究結果があります(Jenkins 2018年):
- 画像検査の依頼のうち34.8%は不適切(危険信号がないのに撮影)
- 一方、危険信号がある患者の65.6%は画像検査を受けていない
つまり、必要な人に検査が行われず、不要な人に検査が行われているという問題があるのです。