手術療法
手術の種類と選び方
腰部脊柱管狭窄症の手術は、大きく分けて 除圧術 と 固定術 があります。
除圧術 — 神経の圧迫を取り除く
神経を圧迫している骨や靱帯を削って取り除き、神経の通り道を広げる手術です。イメージとしては 「狭くなったトンネルの天井を削って広げる工事」 です。

ガイドラインの推奨: 不安定性を伴わないLSSで保存療法無効例に対して、除圧術を行うことを提案する(推奨度2、エビデンスB)
主な種類: 椎弓切除術、椎弓形成術、部分椎弓切除術、内視鏡手術
成績: 術後2年は保存療法より優れるが、差は経時的に縮小。保存療法群でも多くが最終的に手術を受けており、重症例では早めの手術が有利な場合がある。
固定術 — 不安定な背骨を安定させる
不安定になった背骨を、ネジとスペーサーで固定する手術です。除圧術と一緒に行われることが多いです。イメージとしては 「ぐらつく本棚を金具でしっかり固定する工事」 です。

ガイドラインの推奨: 脊椎不安定性のある症例では除圧固定術は有用。ただしルーチンな追加は推奨されない(推奨度2、エビデンスB)
固定術が検討される場合: すべり5mm以上、回旋不安定性10°以上、腰痛が主症状、広範囲除圧で後方支持が失われる場合
成績: 腰痛に対しては固定術が有意に優れるが、下肢痛には差なし。不安定性のある症例で長期成績良好。
注意点: 固定術は 後戻りできない決断 です。固定した上下の椎間に負担がかかる「隣接椎間障害」のリスクがあり、一定の割合で再手術を要するとの報告があります。
低侵襲手術(内視鏡・MIS)
できるだけ小さな傷で行う手術です。除圧術・固定術ともに低侵襲で行える方法があります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 傷が小さく、痛みが少ない | すべての症例に適応できない |
| 出血が少ない | 高度な技術と経験が必要 |
| 回復が早く、入院が短い | 施設が限られる |
| 高齢者ほどメリットが大きい | 視野が限られる |