「気持ちが沈むとき」— 痛みと心、ひとりで抱えない

痛みが長引くと、心まで疲れてきます。弱さではなく、体の自然な反応です。


長く痛みと付き合っていると、こんな気持ちになることはありませんか。

「いつまで続くんだろう」

「家族に申し訳ない」

「何をしても楽しめなくなってきた」

外来でこうした言葉を聞くたび、私は「それは、あなたのせいではありません」とお伝えします。今回は、痛みと心のつながりについてお話しします。

あたたかくお茶を囲み、家族に話を聞いてもらう年配の方 つらさを、ひとりで抱え込まないでください。


痛みと心は、つながっている

痛みが続くと、気分が沈んだり、眠れなくなったり、不安が強くなったりします。気の持ちようの問題ではありません。痛みと心が脳の中で深くつながっていることは、医学的にわかっています。

やっかいなことに、不安や気分の落ち込みは、痛みをより強く感じさせます。痛い、気持ちが沈む、痛みに敏感になる、さらにつらくなる。この悪循環は誰にでも起こりえます。あなたが弱いからではありません。


心の重さを軽くする工夫

この悪循環をゆるめるために、できることがあります。

  • できないことより、できることに目を向ける(今日は少し歩けた、など)
  • つらさを誰かに話す。家族でも、医療者でも
  • よく眠り、軽く体を動かす
  • 痛みの日記をつけて、良い日もあることに気づく

それでも気持ちのつらさが続くときは、心の専門家の力を借りる選択肢もあります。痛みの治療では、心理面からのアプローチが効果を上げることも珍しくありません。「心療内科」「ペインクリニック」と聞いても、身がまえないでください。弱いから行く場所ではなく、回復のために使う場所です。


ご家族にも、知ってほしい

支えるご家族にも、お伝えしたいことがあります。「気の持ちようだよ」「頑張って」という言葉は、ときに本人を追い詰めてしまうことがあります。

励ますより、「つらいね」とそばで聞いてあげてください。それだけで、痛みを抱える人の心はずいぶん軽くなります。


まとめ

  • 痛みが長引くと心が疲れるのは、自然な反応
  • 不安や落ち込みは、痛みを強める(悪循環)
  • できることに目を向け、誰かに話すと、悪循環がゆるむ
  • つらさが続くなら、心の専門家の力を借りていい

痛みも、つらさも、ひとりで抱え込まないでください。頼っていい人と場所があります。


もっと詳しく知りたい方へ