腰の手術のあとの過ごし方 — 先生によって違うのはなぜ?

コルセット・運転・仕事に戻る時期は、病院や医師によって違います。違う三つの理由、どの先生でも同じこと、すぐに連絡してほしいサイン、退院前に聞いておきたいこと。

「同じ病室の方は、コルセットを何か月もつけるように言われたのに、私はすぐ外していいと言われた」「ネットで調べると、書いてあることがばらばら」。腰の手術を受けた方から、よくこうしたお話を聞きます。手術のあとの過ごし方は、病院や医師によって、言われることがかなり違います。このページでは、なぜ違うのか、それでもどの先生でも同じことは何か、そしてすぐに連絡してほしいサインをお話しします。

このページでわかること

  • 手術のあとに言われることは、病院や医師によって違う
  • 違う理由は三つ:手術の中身、患者さんの体、研究でまだ答えが出ていないこと
  • どの先生でも同じこと:早く動き出す、少しずつ増やす、主治医に聞く
  • 次の受診日を待たずに連絡してほしいサイン
  • 退院の前に、主治医に聞いておきたいこと

1. 先生によって、言われることが違う

よく違いが出ること

腰の手術のあと、病院や医師によって言われることが違いやすいのは、たとえば次のようなことです。

  • コルセットをつけるかどうか、つけるなら、いつまでつけるか
  • 座っていい時間、前かがみや重いものをどのくらい控えるか
  • 車の運転、お風呂、旅行
  • 家事や仕事に戻る時期、スポーツを始める時期

同じ「腰の手術」を受けた方どうしで話をすると、言われたことがまるで違っていて、不安になることがあります。どれが正しいのか、自分の先生の言うことで大丈夫なのか、と思うのは、とても自然なことです。

日本だけの話ではありません

これは、日本だけのことではありません。世界の脊椎外科医にアンケートをとった研究でも、コルセットを使うかどうかや、何をいつまで控えるかは、医師によってまちまちでした。地域によっても違いがあり、アジアの国々では、ほかの地域よりコルセットを使う医師が多いという報告もあります。

つまり、「過ごし方が先生によって違う」のは、珍しいことではないのです。


2. 違う理由は、三つあります

一つ目:手術そのものが違う

「腰の手術」と一言でいっても、中身はさまざまです。神経の通り道を広げるだけの除圧術もあれば、ネジなどで骨をつなぐ固定術もあります。

広げる手術でも、骨をどのくらい削ったか、内視鏡で小さく行ったか、何か所を手術したかで違います。固定の手術でも、何か所を、どの方法でつないだかで違います。手術の中身が違えば、そのあとに気をつけることも変わります。

そして、手術の中で実際に何をしたかを一番よく知っているのは、執刀した先生です。

二つ目:患者さんの体と暮らしが違う

骨の強さは、その一つです。特に骨粗鬆症があると、ネジの効き方が変わります。年齢や体力、ほかの病気も関係します。

お仕事で重いものを持つのか、ご家族の介護をしているのか、といった暮らしの違いもあります。同じ手術でも、その方の体と暮らしに合わせて言うことが変わるのは、自然なことです。

三つ目:研究で、まだ答えが出ていない

たとえば、固定術のあとのコルセットについては、つけた方とつけなかった方を比べた研究がいくつかあります。それらをまとめた解析では、痛みや体の動き、合併症、骨のつき方に、はっきりした差は見つかりませんでした。

ヘルニアの手術のあとに、座る時間や持ち上げる重さを制限した方と、制限しなかった方を比べた研究もあります。一年後の結果に、大きな差はありませんでした。

では、コルセットや制限に意味がないのかというと、そうとも言い切れません。研究の数はまだ少なく、どんな方に何が役に立つのかは、分かっていないのです。痛みが楽になる、動くときに安心できる、といった理由で、コルセットを勧める医師もいます。

答えがはっきりしないところでは、医師がそれぞれの経験から判断します。だから、違いが出ます。違うということは、どちらかが間違っている、という意味ではありません。


3. どの先生でも、同じこと

早く動き出す

手術のあとは、できるだけ早く体を起こして、歩き始めます。長く寝ていると、筋肉も体力も落ちてしまいます。寝たきりにならないことは、どの施設でも共通です。

少しずつ増やす

痛みや疲れを目安に、歩く距離や家事を、少しずつ増やしていきます。調子のよい日に一気にやりすぎて、翌日に動けなくなる、ということがないようにします。狭窄症の手術のあとに、体を動かすリハビリを続けた方が、回復がよいという研究もあります。歩くことについては、歩ける距離をのばす のページも参考になります。

分からないことは、主治医に聞く

インターネットや、ほかの方の話より、あなたの手術をした先生の言葉が、あなたにとっての答えです。「ほかの人はこう言われた」と思ったときも、遠慮せずに主治医に聞いてみてください。理由を聞くと、納得して過ごせます。


4. すぐに連絡してほしいサイン

次のようなことがあったら、次の受診日を待たずに、手術を受けた病院に連絡してください。夜や休日でも、遠慮はいりません。

  • 傷:赤く腫れる、汁が出る、熱が続く
  • 脚:力が急に入らなくなった、しびれが急に広がった
  • おしっこ・便:出にくい、もれてしまう、おしりのまわりの感覚がにぶい
  • 頭痛:起き上がると強い頭痛がして、横になると楽になる
  • ふくらはぎ・息:ふくらはぎが腫れて痛い、急に息が苦しくなった

息苦しさが強いときは、救急車を呼んでください。早く分かれば、それだけ早く手を打てます。

手術のあとに残った症状や、いったん良くなってから戻ってきた症状については、手術したのに、また痛い・歩けない のページにまとめています。


5. 主治医に聞いておきたいこと

退院の前に

  • コルセットは、いつまで、何のためにつけるのか
  • 座っていい時間、車の運転、お風呂は、いつから大丈夫か
  • お仕事、家事、お孫さんの抱っこは、いつからできるか
  • どんなことがあったら連絡すればよいか、夜や休日の連絡先はどこか
  • リハビリは、どこで、どのくらい続けるのか

聞いたことは、紙に書いてもらうか、ご家族と一緒に聞くと安心です。ほかの質問の例は 医師への質問リスト にあります。

よくある質問

Q. 友だちと言われたことが違います。自分の先生の指示で大丈夫ですか? 手術の中身も体も違うので、言われることが違うのは自然です。あなたの手術をした先生の指示に従ってください。気になるときは、「なぜそうするのか」を聞いてみると安心です。

Q. コルセットをつけないと、骨がつかないのではと心配です。 固定術のあとのコルセットについては、つけた方とつけなかった方で、骨のつき方に大きな差は見つかっていません。ただ、骨の強さや手術の内容によって、主治医がつけるよう勧めることもあります。理由を聞いてみてください。

Q. 指示より早く動けそうなときは、どうすればいいですか? 自分で判断して制限を外す前に、主治医に相談してください。調子がよいことを伝えれば、予定より早く進められることもあります。


※ このページは一般的な情報の提供を目的としています。手術のあとの過ごし方は、手術の内容や体の状態によって一人ひとり異なりますので、実際の判断は主治医にご相談ください。


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主な参考文献

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